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ユウタ「外に行くか!?」
体を起こし、不意にユウタが提案した。
ナナ「…」
あからさまに「え~?このくそ暑い中を?」と言う顔をするナナ。
ユウタ「公園とか散歩するだけでもいいかもょ?風が吹いて気持ちいいかも…」
ナナ「…」
考え込むナナ。
確かに言われて見ればそうかもしれない…
ナナ「…しょうがないなぁ…行きたいなら付き合ってあげてもいいかぁ…」
ナナのツンデレは健在だった。
…意地っ張りとも言うが(笑)
かくして、外に出た二人。
並んで歩いて、ひとまず公園を目指していた。
ちょうど、十字路に差し掛かった辺りで同じアパートの隣人と出くわした。
ユウタ「あ。」
隣人「あ。」
嫌な予感がする隣人。
前回、あまり良い事が無かった隣人。
素直に関わりたくなかった隣人。
しかし、足を止めてしまったのが運の尽き隣人。
ユウタ「どうも、こんにちは。」
隣人「あ、はい。こんにちは。」
ユウタ「今日はお出かけですか?」
隣人「え、えぇ。まぁ…」
コンビニ袋を提げて完全に帰宅途中の隣人。
中にはタバコと漫画と、やはりプリンが入っていた。
忌まわしい記憶が鮮明に甦る隣人。
ユウタ「良いお天気ですね。」
隣人「…え?あ、そうですね。」
なんとか、話を区切る策を練っていた隣人。
あまり思いつかない隣人。
ユウタ「そういえb…」
ナナ「…はやくしなさいょ!」
「「がぶっ!」」
ユウタ「うぎっ!」
思い切りすねを齧られるユウタ。
涙目なユウタ。
ユウタ「いってぇ…はいはい了解しましたよ。」
びっくりしながらも静かに見守る隣人。
ユウタ「それでは、また…。…いいやんかぁ。別に世間話ぐらい…」
ナナ「目的地に着いてからしなさい。待ってるのがめんどくさいんだから…」
そのまま、独り言を言いながら遠ざかるユウタを見守る隣人。
今回は何事も無く済む予感の隣人。
少し、嬉しくなった隣人。
満面笑顔で振り返り家路に着く隣人。
振り返った先に電柱があってコンビニ袋が勢いよくぶつかった。
満面笑顔から一気に真っ青になる隣人。
恐る恐る中を見ると、
プリンの容器→粉々→漫画本→ぐちゃぐちゃ→タバコ→プリンの容器が縦に刺さり中身が散乱=プリン味になるタバコ
満身創痍な隣人。
奈落の底に叩きつけられた隣人。
すべてが嫌になった隣人。
ユウタに会いたくなかった隣人。
そして、一生プリンは買わないと決めた隣人。
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