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それを後方に下がって流し、流れた踵は地面に落ち、割る。
皹は一番端の壁にまで伝わり、床が抜けた。
落ちてゆく世界の中――――獣眼の常識はずれの能力が発動する。
流石は十賢、まるで見えているかのように俺の爪をレイピアで受ける。
だが――――戦えている。
十賢と――――対等に戦えているんだ……!
そして、ある疑念が頭を過ぎる。
――――俺の攻撃が見えている?
「へぇ……あんたも高也と同じか……」
恐らく、こいつは俺の行動の全てが光りの筋によって見えている。
――――デイライト、厄介な能力だ。
「悪いな。 実を言うと、全て見えている。 普通の奴らなら負けていた……それどころか、死んでいたはずの場面が多々あったはずだ」
褒め言葉として受け取っとく。
そう言う暇もなく下の階に足がつき、高速のやり取りが終わる。
周りには、黒い装束という出で立ちでいる、夥しい程の数の人間がいた。
――――こいつらは、魔王か。
奴らは俺にありとあらゆる神器を向けてくる。
マズイ……これは……。
「邪魔をするな! 神殺しは……いや……鳴海信二は……私が全力で、殺す!」
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