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「……スカーレット、あんた、各務榛名を知っているか?」
その名を聞いた直後、身を乗り出して叫ぶ。
「何故その名を……!」
「……やっぱりな」
去年、俺はいつものように依頼を受けていた。
そんな時、各務榛名(かがみはるな)という黒いセーラー服に黒いニーハイ、黒い長髪をたなびかせた女性が現れた。
しかしそいつは、九つの尾を持った狐で、一対一で俺を殺そうとしてきた時があった。
命からがら、俺はからくも勝利した。
そして、こう言って去って行ったのだ。
『次会う時、貴様を押し倒してみせよう……』
とんでもないセクハラな台詞を残して……。
まぁ、問題はそこではなく……依頼の内容だ。
『スカーレットという男を、探してもらいたい』
そう言っていたのだが……あんな珍しい名前、早々間違ったりは出来ないはずだ。
「そいつは、あんたを探していたよ」
「なっ……生きて、いるのか!」
何言ってんだ、こいつ。
探していたって言ったんだ、言った張本人が死んでるわけがない。
しかし、スカーレットの様子がおかしい。
「……それも、そうか……」
落ち着きを取り戻し、目を閉じる。
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