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突かれたレイピアをかろうじて受け流し、第二波に備えて前に進みながら体を回転させ、神器で突く。
それをレイピアの先で止められ、弾き、斜め上から切られるところで後方に避ける。
すかさず切り付けにいったところ、鍔ぜり合いになる。
「あの狐は、何か言っていたか?」
「さぁね……あんたを探しているって以外はなーんも……言っちゃあねぇよ!」
弾き飛ばし、切りかかるが弾かれ、切りかかり、また弾かれるの繰り返し。
やがて、俺は確信を持って大きくレイピアを弾き、十メートル近くまで離れる。
「……やっぱ、限界があるわ」
呟くように言った言葉を、スカーレットは拾う。
「なんだ、自分の実力に気付いたのか」
俺はそれを――――口の端を吊り上げるという行為で、返事を返してやる。
「――――俺、何も知らないままこの馬鹿げた世界に飛び込んだんだ」
「…………」
「だから、ぶっちゃけ、神器とか十賢とか……神とか知らないし、知ったこっちゃねぇんだわ」
でも、と続け、神器を掲げる。
怪しく、真紅に光りだす。
「……でも……そうも言ってらんない事態が起きた」
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