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今思えば、何も剣にこだわる必要はなかったんだ。
これは、昔の神殺しのスタイルであって、俺のスタイルじゃあない。
……俺は、俺らしいスタイルで、戦う。
いや、守るんだ……家族を――――愛を。
舞の気持ちが、今なら理解出来る。
守るために戦う……それが、俺の意志となった。
断固たる意志となった。
「――――」
それは始まる。
レイピアの細い刃に、黒い霧が密集しだす。
そこから滴り落ちるのは、紅い液体。
それを奮うと同時に、斬撃となる。
レイピアとは、基本的に主に護身、決闘の際の武器として用いられる。
細身で先端の鋭く、尖った刺突用の片手剣で、本来ならば使う際は、一方の手でパリーイングダガーと呼ばれる、相手の斬撃を受け流す短剣を同時に使うのが常識だ。
しかし、その姿は見受けられず、さらに斬撃を飛ばすなんて荒業をやってのける奴。
昔の俺ならば、避けずに受けていただろう。
しかし……今は違う。
空中に身を投じ、縦回転をしていた体を止め、スカーレットを見遣る。
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