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チャンスと言わんばかりに再び斬撃が放たれる。
それが、俺の方のチャンスになるとも知らずに。
獣眼は、体術強化、体力増量、そして――――高速の世界に入ることが可能となる。
それは、何を意味するのか。
つまり……あらゆるスキルを使い……。
「空中を歩くことが出来る……!」
歩くとは言ったが、実際は浮くために走っていなければならないし、ストライド(歩幅)を短くしなければならないのが欠点だが、高速の世界に入れば関係などない。
高速の世界に入る条件は、空中にいて、地面に足をつけていない場合だけ。
空中で、さらに高速で相手の背後をとることが可能だ。
「……!」
しかし、相手がスカーレットともなるとそうもいかない。
爪を振り下ろし、それをレイピアで防いだ。
勘の鋭い者、または勝負慣れしている者の背後を取っても、今のように鍔ぜり合いになってしまうだけだ。
困り物ではあるが、充分な力だ。
俺は鍔を弾き、空いたもう一方の爪で引っ掻く。
それを弾いたはずのレイピアで防ぎ、地面にたたき付けた。
それを体重を支えるための支柱とし、逆立ちの要領で立ち、踵落としをスカーレットに加えようとする。
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