終わりは、始まり。

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 その日は毎年、初霜が降りる。  通学路には土が見える所はあまりないけど、わざわざその場所を探して、ローファーの先で踏む。 足の裏に靴を通して伝わる尖った感触が好きだったりする。 (やばっ……予鈴?)  一人で笑みを浮かべながら、季節を楽しむあたしの愉しみをぶち壊す……現実的なメロディー。  機械に操られてる気がして、なんだか面白くない。 ケータイをスライドして時間を見れば案の定、予鈴だった。  慌ててナナメ掛けの鞄を押さえて走り出す。 (あたしの足なら、間に合うかもしれない)  すいすい横をすり抜けるチャリを睨みながら走る。 息を切らして校門を潜った途端に、本鈴が鳴った。 「珈南、ちこーく」 「うえっ、本条……センセイ」 「今のウエッてのは何だ? それに先生がつくのに間が空いたな?」  ニヤニヤしながら本条は、あたしの頭をバインダーの角で小突く。 (エロ保体教師! 年中ジャージ! ヒゲ面芝生頭!!)  心の中で叫びながらあたしは、本条を睨みあげる。  そんなあたしの視線をこれみよがしに流し、担任は昇降口に歩き去った。
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