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ここはベルリバティスクール。通称BL学園。
鈴菱グループが運営する全寮制の名門男子校で、様々な分野において才能を発揮した生徒を学園が選び、個人の才能を伸ばす事を目的としたエリート校。
そんな広大な理念を持つ学園の有名人はと生徒に問えば、1番に名前があがるのは1学期の途中に転入してきた1年の伊藤啓太。
初日から学園のツートップに気に入られ、その後行われた学園MVP戦で見事1位を勝ち取り喜びに満ちた笑顔をふりまいた。
その結果、今啓太は人生最大の危機に陥っている。
さかのぼる事数分前。
1人で中庭を歩いていたら、突然数人に囲まれ校舎の裏まで連れて来られた。
さすがに無傷じゃ済まないだろうと覚悟しつつ、状況を把握する為に視線を走らせる。
この学園にくる前は物事を冷静に対処するなんて出来なかったなぁ、と少し成長した自分を自覚しながらも、この状況を回避出来なかった事に軽い自己嫌悪していた。
今啓太を壁際に追い詰めて取り囲んでいるのは5人。全員が体育会系の3年だった。
誰が最初に口を開くか視線で相談しているようで、すぐ暴力沙汰に発展する事はなさそうだ。
(取り扱いを間違えないようにしないと)
啓太は深呼吸をして5人を刺激しないように言葉を選んで語りかけた。
「あの、3年の先輩方。俺にどんな用があるんですか?」
言った途端5人の視線が啓太に集まる。
思わず怯んだ啓太は壁際にも拘わらず後退ろうとした。
そんな啓太に詰め寄る様に真ん中の1番体格の良い1人が話し始めた。
「伊藤。俺達はお前に大事な話しがある」
他の4人はコクコクと頷いている。
「俺達はお前に選んでもらう事にした。
勿論恨みっこなしだ」
他の4人はまたもコクコクと頷いていた。
が、訳が分からない啓太の頭の中は、?でいっぱいだった。
「俺達だけで話し合っても埒があかないから、伊藤に決めてもらう事にした。
俺達5人の内、誰を選ぶ?」
益々距離を縮めて迫ってくる5人を啓太はポカンと見上げた。
「さぁ、選んでくれ!」
鼻息も荒く迫られるが、根本的に意味の分かっていない啓太は首を傾げるばかりだった。
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