2人が本棚に入れています
本棚に追加
二十歳の夏、私は彼と出会った。私が入院していた病院で……。
中学生だった彼は、私から見れば可愛い弟の様だった。彼はと言うと、私の事はうるさい姉ぐらいにしか思っていなかった……と思う。
――いや、思おうとしていた……。
しかし、日を追う事に彼の想いは私に伝わって来た。
気付かない振りをするのは……限界だった。
だから、言った……。
「私……もうすぐ死ぬんだよね」
「……えっ?」
彼は冗談だと思ったみたいだった。
だって私、今までで一番明るく言ったから……。
しかし、日に日に痩せていく私を見て彼は確信した。
私は死んでしまうんだと……。
だから彼は最期のあの日、私に言ったんだと思う。
『待ってるから……』
彼と出会った事……
それが私にとっての奇跡だった。
最初のコメントを投稿しよう!