『記念日』

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  「……これ」  彼が小さな箱を差し出した。 「なに?」  綺麗に包装している小さな箱。私は彼の顔を見ながら受け取った。  箱を開けると、中には小さな水晶の欠片が……。 「これ……」  彼はその水晶を取り出し、ネックレスになっているそれを私の首にそっとかけた。 「一ヶ月目だから……」  ボソリと呟いた彼の顔は少し赤くなっていた。 「その水晶、中に水が入ってるんだって。大切にしろよ」  照れているのか、視線を反らして彼は言った。  私はその水晶を握りしめた。 「うん……、うん、ありが……とう」 (そうか……彼はこれの為に毎日遅くなってたんだ……)  私の目からは、いつの間にか涙が流れ落ちていた……。  私の最後の記念日……  ほんとにありがとう……。
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