メリーさんの原点

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(もしもし…) 《今ね、あなたのおうちの玄関の前にいるの》 そう言って 電話は切れた。 美奈ちゃんは もう泣きそうになった。 なんで… わたし何も悪いことしてないのに なんでこんなにも こわい思いしなくちゃいけないの… 恐怖のあまりに からだの震えが止まらない。 受話器を戻して またすぐに電話が鳴った。 プルルルルー、プルルルルー、 もう絶対に出ない。 そう決めたけど お母さんかもしれない。 そう思って 震える小さなおててで 受話器を取った。 ゆっくりと耳に近づけて (お母さん…) 《今ね、あなたの後ろにいるの》 そう、 電話の主はあの女の人の声だった。 しかも、 今後ろにいると言った… 美奈ちゃんは こわくてずっと お人形を抱きしめて お母さん お母さん お母さん… お母さん助けて お母さん助けて 助けて 助けて… お母さん!! そう心で叫んだ。 涙が自然と出てくる。 そして ゆっくりと そっと 後ろの方を見た。 そこには とってもきれいな 女の人の姿があった。 美奈ちゃんは なんだかホッとした。 でも ほっとするのは早かった…
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