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(わたし、メリーさん)
「えっ?どなた」
(わたし、メリーさん)
今度ははっきりと聞こえた。
「はぁ?どちらにおかけでしょうか」
(今、正門の前にいるの)
「もしもし、もしもし」
だが、電話は切れていた。
田島はぶつぶつとつぶやき、
受話器を置いた。
そして、また、
リリーン、リリーン、
今度は隣の席の電話が鳴り響いた。
田島はその電話に吸い寄せられるように
飛びついた。
「もしもし!」
(わたし、メリーさん)
「・・・・・」
(今、花壇の前にいるの)
そこで、電話は切れた。
花壇の前…
実際にかけより、
カーテンのすきまから花壇の方に
目をやったが誰もいなかった。
花壇の中央に立てられた
二宮金次郎の銅像が、
稲妻の光を浴びて気味悪く輝いた。
少し、雨の勢いが弱まっている。
誰かのイタズラだろうと考えると、
気分も落ち着いた。
たぶん、
うちの生徒だ。
何年生だろう。
まさかクラスの子では…。
すると、
リリーン、リリーン、
すぐわきの電話がなった。
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