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「さぁて………帰るか!」
「ま…まってよ!」
ベンチから立ち上がろうとすると
鈴が腕を引っ張った
「なん?
どうした?」
「もう少し!
六年振りに二人きりに
なれたんだもん………」
「あ?は?」
「ボク、この時を
ずーーっと!
ずーーーーーーっと
待ってたんだよ……」
と
本当に
必死に俺に訴える
掴んだ右手は
震えている
「鈴……」
「だから…おねがい…」
鈴は泣きそうな目で
こっちを見る
「あーあー!
泣くな泣くな!
そんな鈴の為に
今日限定
気が済むまで一緒に居てあげるよ」
「ふぇ?」
「だから……
まあ…嫌なら―――」
「言ったね?」
とたん
鈴の勝利は確定した
「な!?」
「だったら今日!
とことんボクに
つきあってもらうよ!」
「……前言撤回して」
「ダメだよ~」
「………口は災いの元
………はぁ…」
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