朔-ボク

11/16
前へ
/113ページ
次へ
「さぁて………帰るか!」 「ま…まってよ!」 ベンチから立ち上がろうとすると 鈴が腕を引っ張った 「なん? どうした?」 「もう少し! 六年振りに二人きりに なれたんだもん………」 「あ?は?」 「ボク、この時を ずーーっと! ずーーーーーーっと 待ってたんだよ……」 と 本当に 必死に俺に訴える 掴んだ右手は 震えている 「鈴……」 「だから…おねがい…」 鈴は泣きそうな目で こっちを見る 「あーあー! 泣くな泣くな! そんな鈴の為に 今日限定 気が済むまで一緒に居てあげるよ」 「ふぇ?」 「だから…… まあ…嫌なら―――」 「言ったね?」 とたん 鈴の勝利は確定した 「な!?」 「だったら今日! とことんボクに つきあってもらうよ!」 「……前言撤回して」 「ダメだよ~」 「………口は災いの元 ………はぁ…」
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加