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「およ? おやおや、春ちゃんと皐月じゃないか」
白々しいなこの人。何か企んでるだろ、その顔は。
「春ちゃん春ちゃん」
「はい?」
手招きするくるみ先輩に近付くと、携帯に指を差して、見ろ、と目で訴えてくる。不審に思いながらもとりあえず携帯を覗き込む。
「……なんですか、これ?」
そこに映ってたのは、皐月に額を触られてる俺。別に変わったトコとかおかしなトコはないけど。何が言いたいんだ、くるみ先輩は。
「春ちゃん、これさ、ちょっと誤解されそうじゃない?」
「まあ、仲はいいですよね。端から見れば」
「そう、仲はいいの、“恋人”みたいにねぇ」
なんでそこを強調するんだろうか。怪訝な視線を送ると、「にひひっ」とまた意地悪く笑うくるみ先輩。
「これ、バラ撒いたらどうなんだろ」
ちょっと待て。バラ撒くってなんだよ。しかもバラ撒いたとこでなんのメリットもな――。
「先輩、何が目的ですか」
「今欲しいゲームあってね」
「クリスマスプレゼントとして買いましょう」
「流石春ちゃんっ、話がわかるぅ」
がっちり握手をしてお互いにうんうん頷く。今あんなのバラ撒かれたら俺死ぬぞ。
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