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 * * * さて、困った。教室から退却したはいいが弁当を食う場所がない。 お気に入りの中庭は寒いだろうし、屋上も例外じゃないだろう。食堂で食うのはなんか気が引ける。 「んー…」 悩む。切実に悩む。このままじゃ昼飯を食うことなく午後の授業が始まってしまう。そしたらたぶん死ねる。あと雅お手製だから残したら殺されるかもしれない。 「とりあえず探すか…」 突っ立ってても仕方ない。飯を食うのに使えそうな部屋を探しながら校内を歩く。 校長室。普通に無理。 理科実験室。危険な臭いがぷんぷんする。 職員室。サッチーに放り出されるだろう。 生徒指導室。忌ま忌ましい記憶しかないので却下。 「生徒会室か…」 中々にベストな場所じゃないだろうか。皐月とくるみ先輩に事情を話せばわかってくれるだろう。たぶん。 「こちらHQ、今から突入を開始する」 ……こういう時ほど友達の少なさを実感する。
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