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「だってわかんないモンはわかんないだもん」
「だもんとかキモい」
わかるよ。わかるよその気持ちは。だけどね、だもんとかキモい。マジキモい。ホントキモい。
「やだ、春斗すごいイケメン」
「太一……今のはホント寒気感じた。ホントなんか怖くなった」
「やらないか?」
「やめろ、それ以上近付くな。うわっ、ホントやだ」
手をワキワキさせながらニヤニヤと近付いてくる太一。この時ばかりは恐怖を感じた。いつもなら殴って終了なんだが、近付いたらヤバイ気がする。掘られる。
「嘘、冗談だよ冗談。俺は男なんかに興味ねぇ」
「お前、俺がいいっつーまで近付くな」
「ちょ…冗談だって、な? 春斗」
「ごめん、ホント近付かないで」
太一は地面にひれ伏した。うぇっうぇっ、と気持ち悪い泣き声を出しながら涙を流していた。その隙に俺は自分の席まで移動する。これでいつでも逃げれる。
と、俺がとりあえず安全を確保したところで、ガラガラと教室の引き戸が開いた。
「あ、春斗」
「……百合」
て事は……だ。最近というか夏休みが終わってからずっと百合はあいつと一緒に行動してるらしい。
「……春」
居たよ。百合の後ろからすっと前に出て来た。なんだよこの展開。こんなの俺は望んでない。
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