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「遅れましたぁ!」
とまあ、ドアを思い切り開けて叫んだんだが、いつもと同じで客はすっからかん。達巳さんはコップを拭いてた。
「こんにちは、春斗くん」
「すいません。遅刻しました」
「二分くらい大丈夫だよ」
ああ、この人優しいわぁ。メガネの奥の瞳が慈愛に満ち溢れてる。親と子供は違うモンなんだな、うん。
「あ、てか着替えないと」
「あ、今は――」
達巳さんが何か言ってた気がしたが、小さくてよく聞き取れなかった。そのままスタッフルームに入る。
「え?」
「あ?」
あれ、なんで皐月さんが居るのでしょう。しかも着替え中、オレンジの下着が丸見えだ。はっ! 殺気!?
「あ・ん・た・ねぇ…」
ゴゴゴ、と黒いオーラを存分に撒き散らしながら近付いてくる皐月。プルプルと肩を震わせる。
「普通、ノックぐらいするでしょ…」
「ご、ごめんなさい」
「普通、着替えてる女の子が居たら出て行くでしょ…」
「ご尤もです。し、失礼しましたー」
ガシッ、と物凄い力で首を掴まれた。ぐぐぐ、と徐々に痛みが増してくる。
「は、離してくださいお願いします。まだ死にたくありません」
「問答無用!」
「!!!!!?」
……おぅふ。
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