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さーっと血の気が引いてくのが自分でもわかった。古びたロボットよろしく、ギギギ、と後ろに振り向く。腕組みをして、俺を冷めた目で見下す皐月が居た。
「ありがとうって何?」
「い、いや、勉強教えてくれるからありがとう的な」
「へぇ、そういうのは本人に言うものじゃないかしら?」
「待て、すごく怖いから、謝るから許して」
もう、と呆れながら隣に座った皐月。持ってた弁当箱を出し、蓋を開けて中身をつついていく。
「二人で何の話をしてたの?」
「そうだ、皐月聞いてー。春ちゃん皐月のプレゼント考えてなかったんだよぉ」
「プレゼント?」
「ほら、クリスマスじゃん、もうすぐ」
あー、と頷く皐月。一瞬で俺の方を向いて睨んでくる。これは、どうやら怒ってらっしゃる。
「勉強教えないわよ」
「はぁ!? ちょっと待て、考えてなかったのは悪いと思うけど、俺はお前の好みなんか知らんぞ」
「だから春ちゃんだってば」
「なっ!?」
どんどん紅くなっていく皐月。何この反応。好みが俺って、タイプとかの話じゃん。俺をプレゼントにしろってか? 無理だろ。
「今一番欲しいのも春ちゃんだよね」
「く、くるみぃ」
だから、俺がプレゼントってなんだよ。サンタさんは人までプレゼントしてくれません。
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