34/50
前へ
/427ページ
次へ
さーっと血の気が引いてくのが自分でもわかった。古びたロボットよろしく、ギギギ、と後ろに振り向く。腕組みをして、俺を冷めた目で見下す皐月が居た。 「ありがとうって何?」 「い、いや、勉強教えてくれるからありがとう的な」 「へぇ、そういうのは本人に言うものじゃないかしら?」 「待て、すごく怖いから、謝るから許して」 もう、と呆れながら隣に座った皐月。持ってた弁当箱を出し、蓋を開けて中身をつついていく。 「二人で何の話をしてたの?」 「そうだ、皐月聞いてー。春ちゃん皐月のプレゼント考えてなかったんだよぉ」 「プレゼント?」 「ほら、クリスマスじゃん、もうすぐ」 あー、と頷く皐月。一瞬で俺の方を向いて睨んでくる。これは、どうやら怒ってらっしゃる。 「勉強教えないわよ」 「はぁ!? ちょっと待て、考えてなかったのは悪いと思うけど、俺はお前の好みなんか知らんぞ」 「だから春ちゃんだってば」 「なっ!?」 どんどん紅くなっていく皐月。何この反応。好みが俺って、タイプとかの話じゃん。俺をプレゼントにしろってか? 無理だろ。 「今一番欲しいのも春ちゃんだよね」 「く、くるみぃ」 だから、俺がプレゼントってなんだよ。サンタさんは人までプレゼントしてくれません。
/427ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8587人が本棚に入れています
本棚に追加