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「無視してんじゃないわよ」 「なんスか先輩…」 「何よ、その態度は。勉強教えてって泣き付いてきたのはあんたの方でしょ。てか先輩とか普段言わないくせに」 あのー……そういう情報は言わないでくれると有り難いんですが。びしびし来るんスよ、周りから痛い視線が。 「先輩生徒会あるじゃないですか」 「先輩はやめて。あんたに言われると違和感ある。生徒会はくるみに追い出された」 「災難ですねぇ、皐月さんも」 「皐月さん? あんた大丈夫? 熱あんじゃないの?」 額と額をくっつけるという、まさかの行動をしやがった皐月。女子が甲高い声を上げ、男子がバタバタと倒れていく。中には泡吹いてるのも。 「バッ、離れろよ!」 「心配してあげてんでしょ」 「周りを見ろ周りを!」 「?」 携帯で俺と皐月を写メる者、キラキラと目を輝かせて見てくる者、二人一組になって抱き合う者。今いる状況がわかったのか、皐月はかぁぁっと耳まで紅くした。 「ち、違うのよ! コイツはただの――」 「彼氏ですか!?」 「かれっ!!? ま、まだそんな関係じゃないから!」 「まだ、ってことはいつかそうなるんですね! きゃーっ!」 「ああ! ほら行くぞ!」 皐月の手を引いて足早に教室から出た。黄色い声は暫く聞こえていた。
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