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……ホント二時間遅刻したよ、あの子。今日はマジで来ないかも。
ポケットから携帯を取り出し、電話帳からあ行の三番目の名前に電話を掛ける。
プルルというお馴染みの音が三回鼓膜を震わした時に電話が繋がった。
『もも、もしもし!?』
「……っ! 声デカっ」
思わず耳から離した。いきなりあのボリュームはない。
もう一度耳に携帯を当て、「今どこ?」と電話越しの彼女に尋ねる。
『ごご、ごめん!あ、あああと少しで着く』
つっても二時間は遅刻してんだけどな。
『あ、もも、もう着いたからききき、切るね?』
「わかった」
『じゃ、ままま、また後で』
「ん」
『……』
「……」
『……』
「いや、切れよ」
『ご、ごめん!』
ツー…ツー…、無機質な電子音が耳に届き、携帯を耳から離して電源ボタンを押す。
しかし、あのテンパりようはないだろ。
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