不安

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数分後、視界の中にキョロキョロと辺りを見回す黒髪セミロングの女の子を発見。ベンチから立ち上がり、その子に近付く。 「加奈」 「ひゃい!」 「ちょ、んな後退んな」 三メートル程離れた彼女に苦笑いを浮かべる。 再び、キョロキョロと視線を動かした後に俺を見付け、真っ赤になりながらとことこ近付いて来た。 「び、ビックリさせないでよ」 顔を俯かせ、身体の前で組んだ手をもじもじさせる。 綾瀬加奈(あやせかな)。俺の彼女という関係で、同じ高校に通う女の子だ。 身長は俺の肩辺りで、アイドルにもなれそうな程整った顔立ち、いい意味と悪い意味でスラッとした体型。服装は………俺の乏しいボキャブラリでは表せられん。 まあ、普通に可愛いですよ。 「驚かすつもりはなかったんだけど」 「でで、でもいきなりは…」 「あ…うぅ…」と唸る加奈。その間も俯いた顔は上げない。 「服買うんだろ?」 「あ、う、うん」 「なら早く行かね?」 「そ、そうだね」 俯いたままスタスタと歩き始めた加奈。俺は待たないんですか、と心の中で愚痴りながら加奈の後を追った。
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