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二階で待っててくれた加奈に近付く。「どど、どうしたの?」視線を泳がせながら加奈は尋ねて来た。
「ん、ちょっとな」
帰りたくなったなんて本人に言えるか、こういう時じゃない限り一緒に居る時間も少ないってのに。
「だ、大丈夫なの? ぐ、具合悪いとかじゃない?」
「大丈夫、ちょっと考え事してただけだから」
「そそ、そっか」
胸に手を当て、ホッと加奈は一息つく。今の話の間も、加奈は一度も俺と目を合わせなかった。
チクリと胸が痛む。
「いいい、行こっか」
「ああ」
何だろう、変な感じがする。なんか、嫌な感じだ。
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