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また俺からの一方的な会話が続き、目的の服が売ってる四階に辿り着いた。と、同時に、俺の視界に見知った顔が二つ確認された。
一人は仲がいいんだが、もう一人はな…。はっきり言って仲いいとは言えないヤツだ。
「あ」
加奈も気付いたっぽい。今すぐに離れたい衝動に駆られ、声を掛けようとしたら「芦屋くん!」と遮られた。
それに反応してあっちも俺達に気付き、近付いて来た。加奈も二人に近付く。
胸がズキリと痛んだ。なあ、なんで芦屋なんだよ、俺じゃないのかよ。
なあ、加奈?
芦屋洋介(あしやようすけ)、現在進行形で加奈と話すサッカー部一年のエース。女子にモテるが、加奈の事が好きらしい。
だからではないが、俺は芦屋が嫌いだ。なんか、嫌いなんだ。
「春斗」
「おう、太一」
杉本太一(すぎもとたいち)、俺とは腐れ縁で、中学からずっと同じクラスだ。何故か地毛が金髪。
「彼女ほっといていいワケ?」
「よくねぇけど…」
仕方ねぇじゃん、加奈から行っちゃったんだからさ。俺にどうしろってんだよ。
拳をキツく結ぶ。楽しそうに話す加奈と芦屋を睨み付けていた。
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