不安

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太一に引っ張られ加奈と芦屋に近付く。「あ、そうだった」と小さく呟いた加奈。 俺の事忘れるくらい芦屋と楽しく話してたんだ。あーあ、早く帰りてぇ。 「ごご、ごめん、春」 「別にいいよ」 「俺より芦屋なんだろ」と続けたが加奈には聞こえてないらしい。それがまたムカついて、益々帰りたくなった。 「加奈ちゃんは何しに来たの?」 芦屋が加奈に尋ねる。加奈は「服買いに」と普通に答えた。 「じゃあ、俺達も一緒に探すよ」 「え、でも…」 チラッと俺を見る加奈。なんでこういう時だけ俺に頼るかな、意味わかんねぇよ。 「加奈が決めていいよ」 「あ、うん」 加奈は少し顔を曇らせる。何か言いた気に俺を一瞥し、「じゃあ、お願いしようかな」 結局そうなんじゃん。俺は何て言えばよかったんだよ。 少しずつ、不満が生まれてきた。先に歩き出した加奈と芦屋に、嫌悪感しか抱かなかった。
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