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四人、と言っても、殆ど加奈と芦屋が服を物色するのを遠目から眺める俺と太一。
「なあ、デートじゃなかったのかよ?」
「俺だって、デートと思いたかったよ」
でもデートじゃねぇよ。まともに話も出来ない、俺を無視して突っ走る、挙げ句の果てに俺を忘れたからね加奈は。気分悪ぃよホント。
「お前も見たろ? 芦屋っつって楽しそうに話す加奈を」
「まあ…見たけど」
「俺はなんなのって話だよ」
ホントは、加奈も芦屋の事が好きなんじゃねぇのかな。とか考えたくなくても考えちゃうんだよなぁ。
「ホント、俺って何なの…」
「春斗…」
もう嫌だ、あいつら見てると俺の中にある汚い感情が溢れ出て来る。今日程帰りたいと思ったことはないだろう。
今までもデートなんて呼べる代物じゃなかった。会話がないなんて当たり前、付き合う前の方が会話出来てた。
別に傍に居れればよかったから話出来なくても少しは我慢出来た。けど、今この時は無理っぽい。
なんで芦屋? 俺じゃないの? 加奈は……誰が好きなの?
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