4.うんこしたい

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 もう少し、もう少しでトイレだ。 入口へ入った。 目隠しのカーブを抜けて、ゴールだ!  小便器になんて目もくれないぜ!  個室だ!  いざ個室へ!    個室へ飛び込むつもりが、できなかった。 進むことができなかった。 トイレは学ランリーゼントの時代錯誤なヤンキーがひしめいていたからだ。 歩く隙間がないほどのうんこ座りの列だ。 手にはタバコの高校生か。 あ、高校生だ。   「ああん? なんだよおっさん」    お前らの方こそなんだ。 今の俺ほどトイレに相応しい人間はいない。 乾いた笑いでごまかして進もうとしたがなにしろ歩く隙間がない。   「おっさんうんこ?」    俺はこくこく頷いた。 虚勢を張る余裕がない。 若者に馬鹿にされようがどうでもよかった。 無事うんこさえできれば。   「トイレは有料でーす」    お調子者の声だ。 正直それを待っていた。 金さえ払えば確実にうんこができるならもうそれで構わない。 5千円くらいなら労働の重みよりも俺はうんこをしたい。   「ちょっと待てよ」    さっと財布を出した俺をひときわ大きなヤンキーが止めた。 払わずに済むのか?  と思えばそうじゃあなかった。   「おっさん俺たちなめてんの」    どうやらなにかスイッチを押してしまったらしい。 怒っている。   「ちょっと外で遊ぼうよ」    肩をつかまれ、ようやくたどり着いたトイレから連れ出される。 変に力むと漏れそうになるので抵抗できなかった。    ちくしょうこんなやつらうんこさえ出そうでなければ……いや無理だな怖い。 高校生にもなれば体格は変わらない。 俺より大きいやつもいる。
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