2.うんこしたい

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 精神的に、すごく脱力した。 もちろん一部から力を抜くわけにはいかない。    正面に体を戻し、ため息をつく。 疲れた。 とにかく疲れた。 もう嫌だ。 とにかく早く終わらせたい。    そうだ。 ここには二人しかいないじゃないか。 社用車さえ使えたら二度と会うことはないバスの運転士と、取引先の女子事務員だけだ。 タカコちゃんには今後会う度「ゲヒヒ」と笑ってごまかしてしまおう。 いいじゃないか、本気で彼女とどうにかなろうと考えていたわけじゃない。    もう、諦めてしまおう。    いいだろ? 神様。 もう頑張ったろう。 充分だろう。 一時の恥じゃないか。 人はそもそも迷惑をかけながら生きている。 だったらもう、もういいじゃないか。 なあ神様。    笑いがこぼれる。 もう駄目だろう。 それなのに、もう少し頑張ろうと思ってしまうのはなぜだろう。 あるかもわからない救済を信じて待てるほど俺はお人よしでも辛抱強くもないはずだ。   「私ずっと前からそう思ってたんです。 だから――」    タカコちゃんは熱心になにかを話している。    そうだ、この子がいるからだ。 この子がいるから頑張れる。 この子のためにもう少しだけ頑張ってみよう。 本当は彼女とどうにかなれることを少しだけ期待していたんだ。
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