2.うんこしたい

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 ぷぅ    血の気が引く。 改めて決意したばかりだ。 油断したつもりはなかった。 なんてこった。 屁が出るとは。 実じゃなかったからよかったなんて風には喜べない。 なにしろすぐ横にタカコちゃんがいるんだから。    おそるおそるタカコちゃんを見る。 見るより先に見られていた。 もう駄目だ。    見詰め合ったまま緊張した沈黙が続く。冷や汗がダラダラと流れた。 いつだ。 一体いつ彼女は俺を軽蔑の眼差しで見るんだ。   「気付いてました?」    気付いたのはそっちだろう。 生殺しにするようなマネはやめてさっさと断罪してくれ。   「私もなかなか確信持てなかったんですけど、今はっきりしました」    腹の調子が悪いことからして見抜かれていたのか。 なら自分がしてきた行為がどんなに酷いことかわかるだろう。 それなのにどうして申し訳なさそうにせずもじもじしているんだ。   「いや、気にしなくていいから」    俺としては彼女が気づこうが気づくまいが状況はかわらない。 数々の非道を今責めてもしようのないことだ。 気をつかって笑うと、タカコちゃんはなぜか食ってかかってきた。   「よくないですよ! ハッキリさせておきたいんです」    俺の口からうんこ出そうと言わせたいのか。 なんなんだこの女は。
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