4.うんこしたい

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 先輩、妹、親。 会社と家族。 社会人として、親子として。 今までこらえていたものを出してしまった。 もう元には戻れないかもしれないのに、心は晴れ晴れとしている。   「あー、スッキリした……」    今日がなにか特別な日というわけじゃなかった。 ただうんこをしたかっただけだ。 それだけのことで他のことが我慢できなくなった。 大人としてはこれは駄目だろう。    でもいいんだ。    なぜなら俺の肛門はまだ耐えている。 まだ戦っている。 全てを捨ててもたった一つ守り抜いてまたあのトイレに行こうじゃないか。    ふらつきながら階段を登る。 トイレはすぐそこだ。 不良ももういない。 これ以上どんな障害があるというんだ。 紙がないとか?  そんなことはどうでもいい。 出したあとのことなんてどうでもいい。    トイレに入る。 笑顔が止まらない。 待ちきれずにベルトを外し始める。 待ちに待ったトイレだ。 強い洗剤の匂いが鼻につんとくる。    さあ入るぞと個室のドアを見ると、「水道故障のため使用禁止」と書かれていた。 見ると隣も同じだった。 二つしかないので、ここは個室が使えないことになる。    扉を押してみるが開かない。 チョウツガイの向きからいってこれは押して開く扉だ。    ノックをしてみる。 返事はない。 もう一度押す。 開かない。 扉を蹴る。 開かない。 もう一度蹴る。 駄目だ。
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