~第一章~

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論は野々村真似のイケメンで昔はあたしよりもちっちゃかったのに、今ではあたしを抜いて2m20の長身。 会えばケンカばかりだったけど、それが逆に居心地がよかった。 論に去年、彼女ができたと聞いて、嫉妬してる自分に気付いた。 先月、論がその彼女と別れたと聞いて、あたしは嬉しくて赤飯を炊いた。 あたしは論が好き… はっきりと気付いてた。 でも、今の関係が壊れるのが怖くて、臆病者のあたしは言えないままでいた。 祭りでは最初に金魚すくい。 あたしは魚アレルギーだから、ただ後ろで見て笑ってた。 次はスーパーボールすくい。 あたしは自信があった。 村1番のスーパーボールすくい名人と言われるくらい得意でその日も520個取った。 あともう少しで全部取り尽くすって時にお店のおじさんが怒って 『イカサマだっ!2度と来んなッ!母ちゃん、塩だ!イタリアの岩塩持ってこい!』とあたしにスーパーボールを投げてきた。 亀田興毅ばりに避けてたあたしの手を論は握り、走ってその場を去った。 ひたすら走った。 論はすごいスピードであたしを引っ張って走った。 あの時の論はきっと
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