~第一章~

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『全力で少年だった。』 幼稚園生以来の論の手の感触を全身で感じてた。 論の手は大きくなってた。 気付けば、友達とはぐれ2人きり。 あたしはドキドキしていた。 走って疲れた鼓動ぢゃない。 紛れもなく論に恋してる高鳴る胸の鼓動だった…。 沈黙の中、しばらく2人で歩いてると学校にたどりついた。 論はこっそり忍び込もうと言ってきた。 あたしはスリルと論への気持ちで脈拍は520に達していた。 真っ暗で静かな学校。 フェンスを乗り越えプールに。 さっきまでいた神社のにぎやかな祭りの音が微かに聞こえた。 水面に映る隣町の打ち上げ花火がとてもキレイだった。 その花火は明日、12の誕生日を迎えるあたしを祝ってくれてるようだった。 揺れる花火を見ていたら、花火が急に消えた。 論がプールに飛び込んだ。 あたしも勢いで浴衣のままプールに。 そして、ずっとプールではしゃいでた。 飽きるまで、2人、ずっと、ずっと…
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