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『全力で少年だった。』
幼稚園生以来の論の手の感触を全身で感じてた。
論の手は大きくなってた。
気付けば、友達とはぐれ2人きり。
あたしはドキドキしていた。
走って疲れた鼓動ぢゃない。
紛れもなく論に恋してる高鳴る胸の鼓動だった…。
沈黙の中、しばらく2人で歩いてると学校にたどりついた。
論はこっそり忍び込もうと言ってきた。
あたしはスリルと論への気持ちで脈拍は520に達していた。
真っ暗で静かな学校。
フェンスを乗り越えプールに。
さっきまでいた神社のにぎやかな祭りの音が微かに聞こえた。
水面に映る隣町の打ち上げ花火がとてもキレイだった。
その花火は明日、12の誕生日を迎えるあたしを祝ってくれてるようだった。
揺れる花火を見ていたら、花火が急に消えた。
論がプールに飛び込んだ。
あたしも勢いで浴衣のままプールに。
そして、ずっとプールではしゃいでた。
飽きるまで、2人、ずっと、ずっと…
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