インテ兄弟

5/20
前へ
/42ページ
次へ
この黄色いエリーゼは、誰かの声が聞こえるのだという…。   ・   ・   ・ 慎太郎 「ふーっ、どういうチューニングにするかな…。」 望月 「あのコースはコーナーが多いからコーナリング&立ち上がり重視でいいんじゃねぇかな?」 慎太郎 「いや、意外と山道多かったからなぁ…。」 すると  「スーパーチャージャーを積め。 低回転のトルクを太めに。」 慎太郎 「ん? 何か聞こえたか?」 望月 「いや、何も…」 慎太郎 「スーパーチャージャーを積めって言ってた。 そんなエンジンあるか?」 望月は奥に向かいながら言った。 望月 「いやぁ、あったかなぁ…?」 段ボールを片っ端から開けてみて、探してみる。  「一番上の棚だ。」 慎太郎 「一番上の棚?? 康平、そのアルミラックの一番上は?」 望月 「は? あ、あった。」 それはかなり埃かぶった箱で、やや重みがあった。 望月は箱を大事に開け、保護シートをとった。 望月 「これ… ダッヂチャージャーに積んでたスーチャーじゃん… こんな古くて、排気量がバカ高いエンジン積むのか…?」 するとまたもや  「ギア次第でどうにもなるんだよ! トランスミッションは4速のものを積んだほうがいい。 ややワイドめでコーナーは1速70キロだ。」 慎太郎 「この声は龍か?? まぁいいや、これでいいみたい。」  「慎太郎! 俺だよ! だいたい、まぁいいやって何だよ!」 慎太郎はあたかも天の声のように聞こえる音を無視して作業に取り掛かった。 慎太郎 「ん~、この車にこのエンジンはでかすぎるな…」  「横向きに積むんだよ。 すっぽり入るから。」 慎太郎は声の通りにしてみた。 すると、きれいにはまった。 慎太郎 「おぉ、スゲェな。」 作業開始から3時間、やっとエンジンの換装が終わった。 望月 「もう21時かぁ… 慎太郎、飯食いに行くか。」 慎太郎 「そうだな。」 慎太郎は軍手を外し、自分のM3に乗り込んだ。 望月もインプレッサに乗り込み、慎太郎のM3の後を追う。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加