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それは突然やって来た。
ダチが彼女の言付けを預かって来たのだ。
「今日来たのは由紀子ちゃんからの伝言を預かって来た。
こんな所に居るお前を傷つけるのも気がひけるけど…もうお前とは別れたいってさ。」
その言葉を聞いた瞬間、ズキンっと頭を槍にでも刺されたくらい心の中が痛くなった。
予想はしていたが閉ざされた面会室の中でダチの言葉に落胆した。
更にダチは衝撃的な言葉を発した。
「もう他に付き合ってる男が居るとも言ってた。彼女がついてた嘘はお前の他に彼氏が居たって事らしいな!」
もう何がなんだか分からない。
彼女に彼氏が居た?俺にそれを隠して付き合ってた?
嘘だ!
それこそ嘘だ!
彼女にそんな器用な事ができる訳が無い!
そうだ!?
これは俺に対する戒めだ!
俺と別れる理由にきっと存在しない彼氏の存在を使ったんだ!
そう…自分に言い聞かした。
捕まったショックなんかよりも別れるって事の方がより強かった。
由紀子との6年間…
俺が付いてきた数々の嘘の代償だった。
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