嘘の代償

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「面会終了!」 留置管理の警察官から言われる。 たった15分の面会時間。 それでも必ず警察官が相席する。 事件をインペイするような内容を話したりするとその場で強制終了される。 面会室から出ると留置管理の警察官に言われた。 「そんな落ち込むな。ここから出たらちゃんと話せば分かってもらえるよ」 とても優しい言葉だったが心には響いて来なかった。 6年以上だぞ! 6年以上付き合ってきた思い出が一気に押し寄せて来て涙が止まらなかった。 彼女が悪い訳じゃない!すべては俺の責任。 留置房に戻ると異変に気づいた慎吾さんが話しかけて来た。 普段はシャブ中のような天真爛漫な慎吾さんだが、この時は精一杯励ましてくれた。 俺は留置房の壁に伸びきった爪で彼女の名前を掘った。 「由紀子さよなら。今までありがとう」と。 俺は死ぬ気でいた。
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