激動

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准汰はカジノバーに着くと扉に手を伸ばした。だが鍵が掛かっていて扉は開かなかった。 「クソッ! 誰か居ないのか」 准汰は激しくノックをしたが、中から返事が返ってくることはなかった。 「ジュン、止めとけって。もう誰も居ねぇよ。あんな事件があったんだし、とっくに店畳んでても可笑しくねぇだろ」 「いや、裏口がある。雄大、そっちに行くぞ」 「おい、ジュン」 准汰は裏口に向かおうとしたところで、見覚えのある女の顔を見付けた。 「涼子ちゃん!? 何でこんな所に?」 「あっ、准汰君。なかなか連絡取れないし、ここしか知らないから来ちゃったんだけど、会えて良かった。お店閉まってるみたいだったから居ないのかと思っちゃった」 涼子は笑顔で言った。 「えーと、ジュンの友達?」 「はい、清水涼子(しみず りょうこ)です」 「涼子ちゃんね、OK。俺もジュンの友達で波多雄大って言うんだけど、雄大で宜しく」 雄大は見た目通りの軽いノリで涼子に自己紹介をした。 「翔四季君は見えないけど、今日はお休みなの?」 「……アイツなら入院してるよ」 准汰は声のトーンを落とした。
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