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暫く扉を叩き続け疲れ果てた准汰は、力無くその場に崩れ落ちた。
「准汰君、大丈夫?」
背中越しに涼子は声を掛けた。
「帰ろう、ジュン。また午後から仕事あるんだろ?」
「仕事なんて気分じゃねぇよ」
「んなこと言ったって、これから彼女と子供を食わしていくんだろ?」
「えっ、彼女? 子供って!?」
涼子は驚きを隠せず聞き返した。
「あれ、涼子ちゃん聞いてない?准汰、結婚するんだよ。で今、彼女のお腹に赤ちゃん居んの」
「そうなんだ……」
「結婚はダメかもしれない……。おふくろが許してくれねぇし、中絶中絶しか言わねぇ。最近、沙夜とは喧嘩ばかりだし、そんなんだからか、俺も一生新聞配達で人生終わるのかなって考えたら何かやってられなくて……」
准汰は言った。
「上手くいってないのか? でももうお腹に赤ちゃん居るんだし、どうしようもねぇじゃねぇか」
「そうだな……」
准汰は項垂れた。沙夜との問題に翔四季と賢斗の事件が重なり、疲れを感じ始めていたのだ。
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