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「それならその用事キャンセルできる?」
「いいけど、どうして?」
「さっきのお詫びに奢るからさ、飯でも行かない?」
准汰は午後の仕事を無断欠勤し、涼子と近くのファミレで食事をした。
食事の後はボーリング、ビリヤード、カラオケと二人は夜まで遊び歩いた。
准汰は賢斗の死や翔四季のことを一時でも忘れていたかったのだ。
だが、一時でも忘れること等できなかった。
常に准汰の頭の中には、賢斗と翔四季の変わり果てた姿があったのだった。
涼子は准汰の新居が酷いボロアパートと聞いて興味を示した。
准汰は軽いノリで涼子を誘った。
「凄ーい。昭和って感じだね」
涼子は准汰の部屋に入ると目を輝かせながら言った。
「何もないとこだからつまんないだろ?」
准汰は窓を開けながら言った。
「ううん、逆に面白いよ。だって本当に何もないんだもん。これでどうやって生活してるのって感じ」
涼子の言葉に嘘はなく、ボロアパートを心から楽しんでいるようだった。
「じゃあ、試しにどんな生活か、今晩泊まって確かめてみる?」
准汰はコンビニで買ってきたお茶を涼子に差し出し言った。
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