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「ダメだよ、准汰君。だって彼女居るんじゃん」
「……今夜は独りになりたくないんだ。頼む、一緒に居てくれ」
一変して、准汰は涼子を抱きしめた。
開け放たれた窓からは、そよ風が入って来る。
「翔四季君に何があったの?」
涼子は察した。准汰の突然の行動に抵抗も拒否もしなかった。
「アイツ覚せい剤やってて……それだけじゃなく覚せい剤を暴走族達に売り付けてたみたいで。それで……それで……」
「もう、それ以上話さなくていいよ。辛かったんだね」
涼子は准汰の背中にそっと手を回した。
「俺、覚せい剤を止めさせなきゃって思ってたんだけど、結局思ってただけで、気が付いたら取り返しのつかないことになってて……友達だったのに……大事な友達だったのに……」
准汰は堪えきれず涼子の前で涙した。
涼子はそんな准汰を無言で受け入れた。
隣家の生活音が聞こえてくる中、二人は暫し抱き合った。
准汰は涼子に口づけをした。躊躇うことなく舌を入れる。
涼子はボロアパートも、涙も、キスも、准汰の全てを受け入れた。
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