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「ねぇ、涼子って誰よ?」
沙夜は物凄い剣幕で准汰に詰め寄った。
「……何でここに?」
「それじゃ答えになってない。涼子って誰なのよ?」
「さぁ? そんなこと言ったけ?沙夜の聞き間違いじゃない?」
「嘘。じゃあ、あのバッグは何?ジュン君のじゃないよね?」
沙夜は准汰の部屋に不釣り合いな女性物の鞄を見付けると指差し言った。
「こないだ遊びに来た友達が忘れていったんだよ」
「友達って誰よ?」
「いちいち詮索すんなよ。これじゃ息が詰まるってーの」
「惚けないで、ちゃんと涼子って聞こえたんだから。涼子って誰なの? ここで何してたのよ」
「……セックスしてた。こういやお前の気が済むんだろ?」
「馬鹿っ!!」
沙夜は准汰の頬を叩いた。准汰は最近の自分はよく女に叩かれるものだと、そう思った。
「最近、電話しても喧嘩ばかりだから、仲直りしようと思ってお弁当作って持って来たのに。先に新聞屋さんに挨拶に行ったら、昨日の午後から無断欠勤してるって言われて――私、凄い恥かいたんだからね。あんた仕事サボって何してんのよ!」
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