最低な男

3/5
前へ
/174ページ
次へ
沙夜は持って来た弁当箱を准汰に投げ付けた。 弁当箱は准汰の胸に当たって畳に落ちた。 綺麗に海苔の巻かれたおにぎりやウインナー 、唐揚げや卵焼きが畳の上に転がり落ちる。 「あんま大きい声出すなよ。お腹の子がビックリするだろ。それにここ壁薄いからよ、全部隣に筒抜けだぞ」 准汰は畳に落ちたおにぎりを一つ拾うと口にした。 「うん、美味い」 准汰は言った。 「食べないで。あんたなんかに食べてほしくない」 准汰が二口目を口にしようとしたところで、沙夜は准汰の手にしたおにぎりを叩き落とした。 「……なぁ沙夜、翔四季と賢斗覚えてるだろ? 別に言い訳する訳じゃないんだけどよ……賢斗死んじまったんだよ。翔四季は寝たきりになっちまったんだ。だから正直言って俺辛いんだよ」 「何それ? 馬鹿じゃない。もっとマシな嘘がつけないの?」 「……嘘……か」 「大体、私あの人嫌いだったの。顔中ピアスだらけで怖い顔してるし、いつも悪いこと考えてそうでジュン君にああいう人と一緒に歩いてほしくなかったの。けど、結局あんた達って同類だった訳ね。よーく分かったわ」 「分かったって、友達のことを悪く言うなよ。俺のことはいいけどよ、友達のことを侮辱するのは止めろ!!」
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加