別離

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翔四季は答えない。 「俺さ、自分で蒔いた種とはいえ今“絶望”してんだよ。どうしたらいいのか分かんねぇ。どう償ったらいいんだろう? なぁ、お前はこんな経験したことあるか? 覚せい剤やってた時はどうだったんだよ? こっそり俺にだけは話せよ。……やっぱり答えられないか。 そうだ、いいことを思い付いた。翔四季、覚えてるか? 前に一緒に服屋をやろうって言ったのを。実は俺な、それまだ諦めてなかったんだよ。俺さ、これから店を用意しとくからよ、お前が起きたら一緒にやろうぜ。起きた時にビックリさせてやるからよ、覚悟しとけよな。 なんかいっぱい話したら喉が渇いてきたな。俺、ジュース買ってくるけど、お前は何が飲みたい? 分かった、俺が適当に選んできてやるから待ってろ」 准汰は病室を出ると売店のある一階まで降りた。 売店ではコーラを二本とチョコレート菓子を一つ買っていく。 准汰は病室に戻る際にコーラの缶を一つだけ思い切り振っていった。 「ただいま、翔四季。コーラでいいよな?」 准汰は思い切り振った方の缶を翔四季の枕元に差し出す。 「俺の奢りだ、飲めよ」 准汰は言った。
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