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どこにでもある小さな一軒家。一階にあるひと部屋の窓は開け放たれ、大音量の洋楽が垂れ流されている。
「准汰、もっと音を小さくしなさい。近所に迷惑でしょ」
「うるせーなババァ。黙ってろ」
准汰は母、紀美子の注意を無視してステレオの音量を更に上げた。
激しいリズムに合わせて長いその髪を前後に振り、英語の歌詞を軽く口ずさむ。
「今日は一段とデカくね?」
准汰は微かに聞こえてきた声に振り返り、窓の方に目をやると、翔四季(としき)がこちらを覗き込んでいた。
准汰はステレオを止めると、すぐ出るから待ってて、とだけ言い、部屋の窓を乱暴に閉め、煙草とジッポライターとウォレットをジーンズのポケットに丁寧に入れた。
玄関でくたくたになったエンジニアブーツを履く。
「仕事行ってくっから」
准汰は居間の方に向かって少し乱暴気味に言うと、家を出た。
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