第三章 闇(病み)

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翔四季の死から二ヶ月――准汰は完全な無気力人間になっていた。 とにかく何もする気力が起きず、訳もなく身体が疲れ、一日中怠い状態。頭の中は常に後悔と懺悔で埋まり、あの時ああすれば良かった、こうすれば良かったと思うばかり。 沙夜の心身と家族をも傷付け、子供を中絶させた罪悪感から准汰は日々己を責め続けた。 街では、小さな子供を見掛ける度に胸を痛め、誰かに自分を裁いてほしいとさえ思った。 夢の中では毎夜賢斗と翔四季の死に顔が現れ、准汰に「なぜ助けてくれなかった?」と問い詰める。 働けなくなった准汰は、無断欠勤を続けた為に新聞販売店をクビになった。准汰はほろ苦いボロアパートを去る。 そして准汰は実家に帰ると自室に引きこもり、塞ぎ込んだ。 紀美子はそんな准汰に、いつまでも怠けてないで早く仕事を見付けて来なさい、と口を酸っぱくして言ったが、その言葉がどんどんと准汰を追い込んでいった。 (俺には生きる価値がない……) やがて准汰は、働けない自分を嫌悪し、そんな自分には全く価値がないのだと思うようになった。 佳紀と雄大は准汰を心配してよく遊びに顔を出した。 塞ぎ込んだ准汰を外に誘い、とにかく騒いで見せたのだ。
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