悲しい殺意

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年が明け、関東地方は積雪十センチを越える大雪に見舞われた。この雪の影響で気温は下がり、路面の凍結が発生する。普段、雪に慣れていない関東の人々は、この大雪に随分と苦戦を強いられた。 成人の日の朝、准汰はニュース番組の映像をじっと見つめていた。お天気カメラに映し出された町並みは、今年二度目の大雪で一面真っ白だった。 准汰は僅かにカーテンを開けると外の様子を確認する。外の雪景色に、子供の頃友人達とした雪合戦を思い出す。 准汰はカーテンを閉めるとテレビの前に座り込み、テレビの明かりを頼りに遺書を書き始めた。 『俺はもう生きることに疲れました。今の俺には悲しみと後悔、怒りと憎しみ、そして妬み恨み等の愚かしい負の感情しかありません。以前の俺がまともだったとは言いませんが、白いオセロが黒いオセロにひっくり返った、今はそんな感じです。 何も償えずにすいません。生まれてきて本当にすいませんでした。さようなら。』 出口の見えない闇に准汰は疲れ果てていた。 准汰はペンを置くとバタフライナイフを手に取り、その切っ先を自分の喉元に突き付けた。
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