第一章 危険な翔四季

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翔四季が十七歳の時だった。高校を中退し、遊びふける彼に手をやいた母親が、翔四季を長野の知人宅へと預けたのだ。 帰ってきたのが十八歳の時。准汰と再会する二週間前だった。 長野では大工の見習いをしていたらしく、翔四季の身体は以前よりも逞しく、そして浅黒く焼けていた。 両耳のピアスの数は増え、鼻以外に、眉、唇、舌、乳首、へそ、とあちこちピアスだらけになっていた。 翔四季は、弱点が増えちまった、とおどけるが、相変わらず喧嘩で負けることはなかったし、寧ろ気味悪がられて、翔四季に喧嘩を売る人間が減ったくらいだった。
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