第一章 危険な翔四季

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翔四季は最初に目をつけたモミアゲと顎髭を繋げた高校生の前に立つと言った。 「おー、暑いな。喉渇いてしょうがねぇやな」 高校生達は誰一人として答えなかった。目も合わせなかった。 既に翔四季に威圧され、畏縮し、固まっている。 「なーに無視してんの? 喉が渇いて困ってる人が居たらさ、その美味しそうなジュースを差し出すもんでしょうが」 高校生達は全員、翔四季に殴られまいとして、一斉に手にしていたペットボトルや缶ジュースを差し出した。 本能的に翔四季の危なさを感知しているようだった。 「おいおいおい、そんなに飲めねぇよ。大体よ、オメエ等みたいな馬鹿面の飲み残しなんて、汚くて飲めねぇんだよ」 そう言って翔四季は、差し出されたペットボトルの中から一つを分捕り、モミアゲの高校生の胸元に投げ付けた。 すいません、とモミアゲの高校生が謝ったのと同時に、一人が走り出し、逃げようとした。 だが、その先には腕組みをした准汰が立っていた。 「仲間置いてどこ行くの? テメーだけ助かろうってか? 薄情な奴だな。俺、仲間を大事にしない奴ってムカつくんだよねー」
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