白衣のアイドル

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「ええ、いいですよ。寝たきりの時はどうなることかと思いましたけど」 「そうですか。あっ! そういえば私、まだ高杉さんにちゃんとご挨拶してないですよね?」 「ああ、そういえば俺ずっと寝てましたからね」 「じゃあ、ご挨拶を。私、加賀海って言います。何かあったらいつでも声掛けて下さいね。宜しくお願いします」 「ああ、どうも」 羽香南は踵を返すとナーススーテションまで歩いた。田沼はそんな羽香南の後ろ姿を恋しそうに見ていた。 「羽香ちゃん、可愛いですよね」 「羽香ちゃん!?」 「今の看護婦さんですよ。加賀海羽香南(かがみ わかな)ちゃん」 「ああ、下の名前“羽香南”って言うんだ。そうですね、綺麗な人ですね」 「でも高杉さん、ダメですよ。羽香ちゃん彼氏が居るみたいですから」 田沼は残念そうに言った。 「そうなんすか。でもまぁ、あれだけ綺麗なんだし、彼氏居ない方が可笑しいですよね」 「ええ~!! 高杉さんはそれでいいんですか!? 羽香ちゃんに彼氏ですよ。彼氏が居るってことはつまり……その……そういうこともしちゃってたりで……」 田沼は言葉を詰まらせると指をもじもじとさせた。 「ちょっと田沼さん、何考えてるんすか? そういうのは彼女に対して失礼ですよ。それに俺は綺麗だとは言いましたけど、加賀海さんのことを好きだとは言ってませんし」 「ああ、そうですよね。なんかすいません」
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