第一章 危険な翔四季

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「すいま……」 准汰は謝ろうとした高校生の言葉を遮り、顔面に一発パンチを入れた。 「謝るなら仲間に謝れっつーんだよ」 続けて准汰は高校生の足にローキックを入れる。准汰の履くエンジニアブーツの爪先には鉄板が入っているので、先程のパンチとは攻撃力が段違いだった。 「ほら、こっち来いよ」 准汰は痛みを露にする高校生の髪を掴むと、翔四季の所まで無理矢理引きずった。 「このお兄さんね、怒らせると俺よりも怖いから気をつけた方がいいよ」 翔四季は態とらしく言った。 「いいから早く済ませようぜ」 准汰は腕時計に目をやりながら促す。 「よし、それじゃあ全員財布を出せよ。持ってねーとかふざけたこと吐かしたら、ぶっ殺すからな」 翔四季の脅しに全員が財布を差し出した。翔四季はそれを一つ一つ受け取ると金だけを抜き取り、笑顔で財布を返してやった。 「結構持ってんじゃん。――あとよ、そのムカつくモミアゲ切っておけよ。俺等この辺よく通るからよ。今度そのモミアゲ見たら、こんなんじゃ済まねぇぞ」 翔四季は革パンのポケットからバタフライナイフを取り出し、器用に刃を出したり、引っ込めたりしながら言った。 モミアゲの高校生は震え上がった声で、はい、と返事をするのがやっとだった。
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