第一章 危険な翔四季

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帰り際、准汰は自分が先ほど制裁を与えた高校生の頭を小突くと念を押した。 「警察とか学校にチクっても構わねぇけどよ、お前等の顔覚えたからな。お前等のその制服A高のだろ? 楽しい学園生活を送りたきゃいい子にしてな。俺等もこれ以上搾り取るつもりはねぇからよ」 「は、はい」 「いい返事だねー。んじゃ、俺等は帰るからよ。全員後ろを向いて三十数えてな。数え終わるまでに振り返った奴は……どうなるか分かってるよな?」 准汰が車に乗り込むと翔四季は車を出した。理不尽な理由で金を毟り取られた高校生達は、後ろを向いたまま数を数えている。 准汰は煙草に火をつけると翔四季に忠告をした。 「翔四季、行き当たりばったりはよせよ。捕まるぞ」 「大丈夫だよ。俺、運強いから。それよりも今年で十代も終わりだろ。来年、俺達も二十歳だ。だからよ、この十代ラストの一年は思い切り暴れようぜ」 「ったく……」 准汰は最近暴走しがちな翔四季の行動を危惧していた。今はまだ翔四季をコントロールできたとしても、このままエスカレートすれば手に負えなくなる、と。
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