カジノバーの悪魔

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閉店後、店の後片付けを済ませた准汰達は、いつものように外で朝食を取らず、店のキッチンで簡単なつまみを作りビールを呑み交わしていた。 お疲れ、に始まり、やれ最近抱いた女の話や、可愛いと思う女性芸能人のランキング付けをしたり、また最近した喧嘩話や自身の性癖など話が尽きることはなかった。 そして話題は店内で騒いだあの酔っ払いの話になっていた。 ほろ酔いになった翔四季は特に顔色を変えることもなく、酔っ払いが口にしたイガザバについてネチネチとしつこく語り、些か顔を赤らめた賢斗はつまみを口に運ぶのが嫌になる程、お得意の汚い言葉で誰彼構わず罵った。 佳紀は酒の所為なのか、もともとの性質なのか、何にでも笑い反応を示している。 准汰はそんな光景を時折煙草を吹かしながら、チェスボードを眺めるように注意深く見ていた。 酒の所為で注意力が鈍っていたのか、突然開いた扉の音に准汰以外の三人は一様に過敏な反応を示した。 閉店後の店内にやってきたのは猪狩だった。 客でも、また警察でもなく、よく知る顔と分かった准汰達は安堵した。 「お疲れさまです」 揃わない声で各々が言う。翔四季は、何か飲みますか、と気を利かせて聞いたが、猪狩は首を横に振り翔四季に別の注文をした。
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